「告発 〜ある盗作ジャーナリストとの闘い」

 

『告発 〜ある盗作ジャーナリストとの闘い』

本書は、テレビ朝日番組サンデープロジェクト≠フコメンテーターである財部誠一が、いかに他人の本を盗作しているか、かつ情報パクリ屋であるかを実証的かつ法律的に解明したものである。
これから、主要部分を連載する。第三回は第一(その1)≠ナある。

発見

1999年2月23日、私が、
「財部誠一は“盗作者”である」
という“事実”(私の認識として)を発見したのは、一つの偶然によってであった。
わずか一分の差で、新幹線に乗り遅れたのがその偶然の始まりである。
私はその日、武村正義・前大蔵大臣(当時)との話し合いを終え、沼津市の自宅へ帰るべくタクシーで東京駅へ駆けつけた。
丸の内中央口から通路を急いでいると、18時31分発こだま481号の表示が切り替わってしまっていた。一分遅れだ。
次のこだまは、19時7分。それまで30分以上も待たなければならない。私は、やむなくキオスクに入り、『諸君!』『新潮』など数冊の雑誌を購入した後、店内の新刊本を見てまわった。
目に止まったのが財部誠一著『シティバンクとメリルリンチ』である。
率直に言って私は、好奇心をもって『シティバンクとメリルリンチ』を手にした。
財部誠一は、金融問題について、雑誌などで一端の発言をしている。まさか、一般の人は彼が“盗作”(あるいは“盗作”まがい)で本を書いているなど思いもよらないだろう。
また財部誠一は、テレビ朝日の人気番組『サンデー・プロジェクト』のコメンテーターをつとめている。まさか、一般の人はキー局であるテレビ朝日が、本の盗作(あるいは、まがいの行為を行っている)者をコメンテーターとして使っているなど思いもよらないだろう。
私も、マスコミ界、金融界の視聴者の多くと同じく、財部誠一のさほど内容のないコメントにうんざりしながらも、盗作(あるいはもどきの行為)をしているとまでは思い至らなかった。
「財部誠一は、どんな情報ルートをもっているだろうか」
「ニューヨークのシティコープ(シティバンクの銀行持株会社)本社に取材するほどの力があるのだろうか」
「自分とは違った、どんな情報やデータが入っているのだろうか」
ところが、『シティバンクとメリルリンチ』の目次を見ただけで、私は愕然とし、興味は怒りに変わった。
「財部誠一は私の著書を“盗作”している」
私はすぐにそう確信することができた。
しかも出版社は、私が98年12月に『シティバンクはビッグバンをどう勝ち抜いたか』を刊行した講談社である。
さらに内容に目を通してみた。
“盗作”のひどさは目に余る。私の三冊の著作から“盗った”としか思えない文章、言葉が范濫しているのだ。
@『シティバンクはビッグバンをどう勝ち抜いたか』(97年、講談社刊)
A『シティコープ 巨大銀行の二一世紀戦略』(88年、ダイヤモンド社刊)
B『アメリカの罠』(84年、光文社刊)
-----------これが、テレビ朝日『サンデー・プロジェクト』のコメンテーター・財部誠一の実像なのか。
私のこの発見が、財部誠一のジャーナリスト活動の根幹と関っていることは、その後の経過から明らかになっていった。

丸写し

とにかく財部誠一の手当り次第の“盗作”“丸写し”ぶりには目に余るものがある。
その一覧表は「第五章 裁判資料」に詳しく示してあるが、私は自著との類似点に線を引いてみた。
財部誠一の著作の「1.不良債権に苦しんだシティバンクの復活」(16〜38ページ)のほとんどが、それに該当するといってよい。
ここでは、とりあえず二か所だけ紹介しておく。
一つは、シティバンクの1993年〜94年の経営計画「エボリューショナリー・プラン」に関する部分である。
これは、私が相談した弁護士の一人、I氏が、
「同一性が認められるものの一つ」
と、指摘している箇所である。
「同一性」とは、文字通り、私の著作の記述と財部誠一の著作の記述との同一性であり、著作権侵害を立証する重要な要件の一つである。
二つの著作の同一性を見て欲しい。


『シティバンクはビッグバンをどう勝ち抜いたか』
・ 22、23ページ
このような急速な業績の立ち直りにもかかわらず、リードは全行にハッパをかける手を緩めなかった。彼は、
シティバンクにとって、1993年は“RECOVERY(回復)”の年、94年は“BACK TO STRENGTH(力を戻す)”の年になる
と位置づけ“EVOLUTIONARY PLAN(エボリューショナリー・プラン)”と題する計画を確定した。
エボリューショナリー・プランは95年末までとして、次の目標を掲げた。
@ 格付け機関からAa(ダブルエー)の格付けを取得する
A 株価資産倍率(PBR)を二倍にする
B 自己資本と準備金の基盤を強固にする(ティアIの自己資本率6.5%〜7.5%、準備金150億ドル)
C ROE(株主資本利益率)を16%〜18%にする
D ポートフォリオ(資産の内容)を健全化する
E 業務を発展させる

『シティバンクとメリルリンチ』
・ 34ページ
シティバンクのこの勢いは、その後も止まらなかった。リード会長が矢継ぎ早に次なるプランを打ち出したからだ。それは「1993年は回復の年で、1994年は力を取り戻す年だ」とする「エボリューショナリー・プラン」で、そこは@格付け機関からダブルAの格付け取得、A株価資産倍率(PBR)を二倍にする、B自己資本と準備金の基盤強化(自己資本比率6.5〜7.5%、準備金150億ドル)、C株主資本利益率(ROE)を16〜18%にする、D資産内容(ポートフォリオ)の健全化、E業務発展、という六つの項目があげられていた。


この部分は誰が見ても、ほぼ“丸写し”ではないだろうか。
ところが著作権法上は、丸写しであっても、盗作者は罪を免れる可能性があるのだ。
別の弁護士O氏は、
「財部誠一は、法律スレスレのことをやっている。(盗作の)プロですね」(後述)と語っている。
こういう点が、裁判で争われることになる。
財部誠一も、O弁護士の言う“盗作のプロ”、つまり著作権侵害を免れるプロだけあって、どうすれば著作権侵害を免れるかという点は心得ているようだ。
「俊英エコノミスト、財部誠一センセイ、それって盗作ですよ」と報じた『サンデー毎日』誌に、本人はこう開き直っている。
「歴史的事実を時系列に並べただけ」
後に記すが、財部誠一が「歴史的事実」という言葉を使っているのは、
・ 盗作のプロであるか


第二回